【つづき・・・】
『いつもなに飲んでるの?』 紳士が言う。
『あ~ボクお酒嫌いなんで』 と、そっけなく返すボク。
目線は合わせない・・・。
ボクは真っ直ぐ前を向いたまま、しばしの時間が流れた・・・。
『なら、、同じものでいいね。』
紳士はマスターに自分の飲んでいる物を注文すると
またボクにこう話しかけてきた。
『悪かったね、お酒をマズくしちゃって・・・。』
ボクは完全黙秘・・・こう言う時はこれに限る、余計な事は喋らない。
どんなしっぺ返しが来るかわからないからだ。
すると、しびれを切らしたのか?その紳士はこう続けた。。。
『今仕事なにやってるの?』
『え・・・』
ボクは一瞬戸惑い、紳士の方に顔を向けてしまった。
眼と眼が合う。
まさか『高校生ですっ』なんて言える訳もなし、一瞬だがうろたえた。
『まぁ~いいや、楽しく飲もうよ。』
紳士はそう言ってほほ笑むとグラスを傾け、
グイッと酒を身体にしみ込ませた。
ボクはムスッとしながらもその紳士の話に耳を傾ける。
眼はもちろんの事、
話し方や内容でだいたいその人の器量はわかるモンだ。
その間、ボクと揉めたおにぃ~さんはボクの事を睨みつけている。
ボクはおにぃ~さんをけん制しながら紳士の話を注意深く聞いていた。
『何もしてないんだったら・・・ウチに来るかい?』
/ヽッ!とした、ボクはこれと同じ言葉を上野駅周辺で言われた事がある。
自衛隊だ・・・。
ボクは今、紳士に同じ事を言われている・・・何屋さんかも知らない人に…
『ボク馬鹿ですから・・・』
紳士に『何屋さんなんですか?』と聞く事も出来ないボクは、
こうやんわりと断った。
すると・・・
『学力なんてモノは後でどうにでもなる…
『学力なんてモノは後でどうにでもなる…
でも度胸だけは、、
教えても身につかないモンなんだよ。』
ボクは思った・・アッチのお方だと・・・。
でもボクも喧嘩を売った手前、引くに引けず・・・。
『興味ありませんね・・・。』
と、精一杯の強がり、紳士お勧めのお酒をグイッと一飲み、腹をくくった。
『ちょっと失礼・・・』 ボクはトイレに向かった・・・。
『もうどうにでもなれッ!』
こうすればあのおにぃ~さんはトイレでボクをボコボコにするハズだ。。。
どうせヤラれるんだったら早い方がいい・・・デコピンと一緒だ。
ボクはその覚悟をもって、トイレに入った。
しかし、待てど暮らせどあのおにぃ~さんは来ない・・・。
『まったくッ!GOサインだろうがっ、はよ来いやっ!』
と、心の中でなぜか関西弁混じりで叫ぶボク。
もうしょうがない、トイレで用をたしたフリをして店内に戻る。
しかし…そこにはもう、
あの紳士とおにぃ~さんの姿は、なかった。。。
【次が最後、
良ければ読んでねっ♪】